電子書籍

もっと電子書籍を

最近、私の周りでは、グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶが、密かに注目を集めている。

海外の音楽業界のマーケティングやプロモーションに明るい人達は、グレイトフル・デッドというバンドが、いかに他のメジャーストリームのバンドと違っているか、以前からよく知っていったはずだが、このような書籍が登場して、一般の人達も、その変わりっぷりを知ることができるようになるのはよいことだ。

私も、グレイトフル・デッドの活動については、よく知っていたので、この書籍に目新しいことは書かれていないのだが、書籍にまとまったということで、読んでみようと思い立った。

が、私は、1)置く場所がない、2)紙がもったいない、という2つの理由で、もう紙の書籍は、極力買わないことに決めている。

では、電子書籍で思って探したが、出ていないようだ。

仕方がないので、米Amazon.comのKindle Storeに行ってみたら、やはりMarketing Lessons from the Grateful Dead: What Every Business Can Learn from the Most Iconic Band in Historyがありました。

なので、私は、この本を、英語で読んだわけだが、もし日本語版の電子書籍があれば(そして、その売値が、紙版の売値から、紙、保管、流通、などにかかる経費を引いた値段なら)、そちらを買ったはずなのだ。

私の場合、元々、紙版を買う気持ちはまったくなかったので、出版社の一部が電子書籍の普及で危惧する電子書籍が紙版の売り上げを食う、という事例に当てはまらない。これは、日本語版の出版社にとって純粋な機会損失だと言える。

電子版1部だけの話ではあるが、もったいないなぁと思った次第だ。

AppStarが2.2にバージョンアップ

iPhone App StoreでAppを販売するデベロッパにとって、iTunes Connectのレポートを読み解くのは、大変な作業だ。

日本だけを対象にAppを販売しているならともかく、全世界でプログラムを販売すると、90前後の国のストアに並ぶそうで、レポートからそのすべての売上を把握するのは、至難の技と言える。特に、全世界的によく売れているAppの場合、一括して支払われてくる金額が、どの国の売上なのかを知ることは、ほぼ不可能に近い。

そのため、レポートの内容を視覚化してくれるプログラムが必要になるが、その中でもフランスDamabiaの
AppStar 2.0は秀逸だ。このAppStarが2.2にバージョンアップした。

AppStar 2.0の素晴らしいところは、自分のAppの国別の売上を管理できるだけでなく、カテゴリ別のランキングやコメントも確認できるところだ。さらに競合製品を100ヶまでフォローして、そのランキングやコメントを確認できるので、マーケティングに大いに利用できる。

今回のバージョン2.2で一番面白いのは、海外のレビューを自動翻訳してくれる機能だろう。これまで海外のストアに現地の言葉で書き込まれたほとんどのレビューは、無視するしかなかった。

自動翻訳の心もとない訳文とは言え、肯定的なことを言っているのか、否定的なのかを推測するには十分だろう。

なお、日本のデベロッパにはあまり関係ないが、前バージョンでのMac App Storeに続き、今バージョンでiBook Storeにも対応したそうだ。出版業界の方々も、将来の電子書籍時代の到来に備え、チェックしておいてもよいかもしれない。

電撃コミックジャパン

アスキー・メディアワークスが、日本初のiPad、iPhone、PC向けの描き下ろし電子コミック雑誌と謳う、電撃コミックジャパンの1号が、iPhoneのBook Walkericonという無料のAppから購入可能になった(ちなみにiPad版のBook Walkerはこちらicon)。

今号は、無料で公開されたプレ創刊号icon付きで、900ページ以上あり、読み応えも十分だし、連載の質も決して低くない。

この価格が、私が電子版コミック雑誌の適正価格と常々考える115円なのだ。私は、これを適正価格と見ているが、一般的に言えば、現時点では破格の価格設定だろう。

私は、まず雑誌は、すべからく電子化されるべきだと考えている。読み捨てが基本であり、遅かれ早かれゴミ化する雑誌が、紙と言う媒体から解放されれば、大量のゴミが減ることになる。

次に、電子雑誌の適正価格が115円と考えるのは、単純に、紙、インク、配送、などの経費がない分、売価は安くならなければならないと思うからだ。

個人的な考えだが、例えば、私は、週刊コミック雑誌を、毎週3誌買っている(それ以外にも隔週の雑誌を買ったり、不定期に買っているものもあるが)。

実は、もっと多くの雑誌を買いたいと思っているのだが、紙版だと、読むシーンが限られてしまい、これ以上の雑誌を一週間で読みきれないので、3誌にとどめているのだ。

仮に、すべてのコミック雑誌が電子化されれば、どこでも読めるようになるので、少なくともあと2誌は買うようになるだろう。

しかも、値段が各誌115円となれば、読み切れるかどうかは度外視して、とりあえず毎週思いつくだけのコミック雑誌を買うことになると断言できる。

このような購買行動がコミック雑誌の購読者すべてに共通かどうかは分からないが、電子化することと値段を115円のような安価に設定することで、今まで買われていなかった雑誌が買われ、その発行部数が増えると共に、必然的に今まで読んだことがない漫画と読者が出会うことになる。

新しい漫画との出会いが増えれば、その漫画のファンが増えることが予想でき、その単行本が売れる確率も高くなる。

すでに紙版が販売されている雑誌と、はじめから電子版としてスタートする雑誌を簡単に比較はできないが、今後、他のコミック雑誌も、電子化され、かつ、この115円が標準価格となることに期待したい。既存の雑誌で、紙版と価格を変えづらいなら、年間購読で大幅値引きを設定するなど、やり方はいくらでもあるだろう。

電子書籍・コミックサミットin秋葉原

11月12日と13日に、秋葉原で開催された電子書籍・コミックサミットin秋葉原に行った。

どちらかと言えば、業界側のサミットなので、全体として保守的なムードの中にあったと思うが、12日の集英社専務取締役による「デジタルコミックの海外展開」は、ちょっと面白かった。

集英社が進める日本の漫画コンテンツを一カ所に集めたジェイマンガというポータル構想と、社内で開発中の漫画のデジタルコンテンツを作成するためのソフトウェア(名称は失念)は、なかなか積極的で好感が持てる。

残念なのは、日本の週刊漫画雑誌(少年ジャンプのことだろう)の発売日と同時に、翻訳されたデジタル版を海外で発売するという構想には、日本でのデジタル版発売の予定がないと言うことだ。

翻訳したものをデジタル販売できるなら、当然、日本語のオリジナル版もデジタル販売できるはずだが、あえてしないということは、世界展開と言っても、まず海外の海賊版対策、という対症療法的な発想だと思われる。

300万部売れている雑誌で、あえて今から冒険する必要はないということだろうが、「惜しいなぁ」と思ったのは私だけではあるまい。

MacFanがZinioで...

数日前にZinioについて触れたが、日本語の雑誌としてfllick!に続いて、MacFanも発売になった。

ひょっとしたらZinioが、日本の電子書籍ストアの定番になる前触れかな、と思ったが、
MacFanの値段設定を見て、やっぱり駄目なのかな、と思い直した。

ZinioでのMacFanの値段は、1冊が600円ということらしい。これは、紙版のMacFanの730円から18%オフということだが、まだちょっと高いと思う。

もちろん、出版社や編集部だって、色々と計算して価格設定をしているわけで、600円になった立派な理由があるだろうことは、分かっている。

私が電子版が紙版より相当に安いべきだと思うもっとも大きな理由は、MacFanのような情報誌は、発売から時間が経てば内容が古くなり、その価値が下がっていく、つまり基本的には読み捨てだと言う事実にある。

読み捨ての媒体は、資源としての紙を消費する紙版より、不要になったらいつでも消去できる電子版のが相性が良い。小難しいことを言わなくても、紙がもったいないと言えば、誰でも、ある程度は納得してもらえるだろう。

また情報誌は、歴史的な価値とか、資料としての価値が将来は出てくるが、その際も電子版で検索可能にしておいた方がいいはずなのだ。

だから、この際、紙版はゆくゆくはやめて電子版に移行します、くらいの意気込みがあってもいいのではないか、と思うのだ。

さらに言えば、MacFanのようなITの世界を舞台にした雑誌は、新しいメディアに果敢にチャレンジする姿勢を打ち出し、業界全体の電子化の先陣を切り、その普及を目指すべきだと思うのだ。その点、電子版の価格設定からは、「電子版も格好いいので出してみたけど、失敗したらすぐに撤退します」という消極的な雰囲気を感じずにはいられない。

仮に1冊を600円で売るしかないなら、せめて1年購読や2年購読すれば半額とか、年間購読の料金設定を用意して欲しかった。「年間購読がないのは、失敗したら来月には撤退するための布石か」と勘ぐりたくなる。何でも海外の真似をすればいいとも思わないが、MacWorldのデジタル購読(12冊)で76%オフを見習って欲しい。

ビューンについても同じようなことを書いた気がするが、日本では、電子書籍に対して業界全体が、どこか及び腰で、エイヤッとやるところが全然出てきそうにないのが残念だ。音楽業界におけるAppleのiTunesみたいに、しがらみのない外部から救世主(あるいは破壊者)が登場するのを待つしかないのだろうか。

zinioが日本語の雑誌を発売

米国の電子書籍出版社、zinioflick!の日本語版を発売開始したというので、サイトを覗きにいってみました。

flick!自体には、あんまり興味がないんだけど、
MacWorldの購読とか、78%オフだし、そそられるなぁ。

flick!の日本語版が出たということは、今後、日本の雑誌社で電子書籍を販売したいと思っているところは、zinioと提携して発売するってこともありなのかも知れない。

iBooks Storeが全然始まらない日本においては、まだ電子書籍出版の定番が決まらないので、ひょっとしたらzinio辺りが市場を独占することも可能かもと思ったりする。

個人的には、少年マガジンとか少年ジャンプとかアフタヌーンとかモーニングとか、とにかく漫画雑誌を電子化して欲しい。ある意味、読み捨てが前提の媒体については、紙がもったいないと思ってしまうのだ。そして年間購読で78%オフとか、やって欲しいなぁ。

ビューン、削除しました

iPhoneで30以上の新聞および雑誌が読めるApp、ビューンですが、お試し期間の終了と共に削除しました。(iPad版はこちら。)

私が読みたい雑誌では、ビューン版と印刷版で、あまりにも内容が違い過ぎました。読者としては、既存の雑誌を購読するわけですから、印刷版もデジタル版も、まったく同じ内容が読める、ということが大前提です。

何らかの法的な理由で読めない内容がある、というのは理解できますので、少し内容が削られていても仕方ないのですが、現状から言うと、読める記事と読めない記事の違いが明確でなく、まるで面白い部分こそ隠しておいて、本当は印刷版を買って欲しいんだ、と言わんばかりの、宣伝用お試し版を読んでいる気持ちになります。

ビューンのホームページでは、「各メディアについて、全ての記事がお読みいただけるわけでありません」とだけ書かれていて、なぜそのような現状なのかの説明は一切ありません。(ちなみに、以前「バックナンバーの取り扱いが不明」と書きましたが、雑誌は最大12冊、新聞は最大7日分だそうです。しかし、この「最大」というのも曖昧で、曲者っぽくて嫌な表現ですな。)

出版社側は、全体のボリュームから、ページ数にして7割から8割は読めるから十分、と考えているのかも知れませんが、読者は、雑誌をそういう風には見ていません。削られた1割を読みたかったという場合だってあります。

1ページの連載があるという理由だけで、特定の雑誌を毎号買っている、という人を、私もたくさん知っています。

こういう新しい形態のビジネスが始まるとき、おそるおそる試すことも多いですが、時には「えいや」っと大きく始める必要があることもあります。ビューンには、この「えいや」っが必要だったと思いますが、現状、そのような雰囲気は感じられません。

ものすごく楽しみにしていましたし、今も将来には期待はしているのですが、とりあえず、残念ながらの削除とあいなりました。

ビューン、どうなのかなぁ?

iPhone 4でビューンを試しているが、どうにも不明な点が多くてイライラさせられる。

まず、どの雑誌のどの部分がビューンで読めて読めないのか、が分からない。読めない記事がある、という根本的な理由も理解しがたいので、ともかくその理由が知りたいと思ってしまう。

例えば、DIMEに伊集院光さんの「伊集院光の深夜27時の買物(かいぶつ)」という連載があるが、ビューンでは読めないようだ。ご自身で購入して使った商品について書いた記事のはずだが、あれがなぜ公開できないのだろう。DIMEについていえば、読めない連載記事は他にもたくさんある。

「人気連載は、紙で読んでね」ということだとすると、逆にビューンで読めている記事は、何なんだろうか?、という疑問がわく。DIMEは、話題の新商品や新製品を紹介する記事が多いわけだが、ひょっとしてメーカの宣伝になる記事をビューンで積極的に公開しているだけか、と勘ぐりたくなる。

多分、原稿料や契約の問題で、編集部で書いた記事しか公開できないというのが真実に近いと思うが、それならそれで「今後、交渉して許可が出たものから、読めるようにする」などのアナウンスが欲しいのだ。「より多くの方がビューンを購読してくれることで、記事も増える」というなら、とりあえず応援のために購読しましょう、という人も出てくるだろう。

次に、バックナンバーの扱いが分からない。雑誌なら、一度買った号は、捨てない限り、手元に残る。ビューンではどうなのだろう。それが分からない。App自体に検索機能がないので、過去の号をとっておくメリットも薄いと思うが、「前に読んだあの記事をもう一度読みたい」ということができるのか、できないのか、分からないのだ。

興味のない雑誌も多いが、450円/月なら、購読を検討するに値するAppだと思う。しかし、上記の点が不明なままなので、多分、お試し期間が終われば、削除となるだろう。

いい試みで、方向性も合っていると思うが、決して読者主体で開発されたサービス/Appでないことは、まぁ明らかだ。

こういう中途半端なことをやっていると、電子書籍ビジネスは今ひとつみたいな認識が定着するのではないかと危惧するところでもある。