Aria Pepe PS-53を改造

ショートスケールのギターを探し続けた結果、メインのギターはスケールが53cmというスペイン製の子供用クラシックギター、Aria Pepe PS-53に落ち着いた。53cmだとスケールが短すぎて弾きにくいことがあるが、以前は届かなかったフレットまで指が届くので、指が届く方を優先して53cmで良しとしたものだ。



このギターに、以前Baby Taylorに仕込んだのと同じ
乙女の二股というマイクを仕込んで使っている。

しかしPS-53は子供の練習用という位置付けのギターだから仕方ないのだが、音量が小さいし、各弦のバランスも悪いし、サスティーンも十分になく、音に張りがなく、音の立ち上がりもどんよりしていて少しおもちゃっぽいのだ。これらの多くはZoom A3を使うことで解決しているが、音の立ち上がりとサスティーンだけは思った感じにならない。



そこでナットとサドルを牛骨か人口象牙に変更しようと考えて交換用部品を探した結果、ナットは
GRAPHTECH PQ-6250-00がぴったりであることが分かった。


なお、このナットはPS-53に元々付いていたナットよりも高さが若干高いが、1弦と6弦が少し下がっている。そのため、中央の高さを合わせるために底を削って交換すると1弦と6弦の弦高が下がるので注意が必要だ。

問題はサドルだ。まず幅も厚みもそのまま使えるぴったりのものがないということに加え、自分のPS-53が全ての弦でオクターブピッチがシャープする問題をサドルの交換で同時に解決したいという思惑があるのだ。特に3弦が強くシャープするので、サドルの造作で何とかならないかと考えた次第だ。

クラシックギターの場合、オクターブピッチが全てぴったり合うことは珍しいらしいが、それでも少しでも改善したい。考えたのは、厚みが最大の交換用サドルを採用し、弦が載る部分の山をブリッジ側にずらしてしまう方法だ。こういう方法が正しいのかわからないが、理論上はこれでオクターブピッチが改善するだろう。不安な点があるとすれば、サドルがブリッジに収まっている部分は従来と変わらないため、サドルにかかる負荷でサドルが折れてしまう可能性があることだ。文章で説明してもわかりづらいので写真を載せると、こういう感じだ。
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これはGraphtechPQ-9025-00 TUSQ 1/4” SADDLE SLAB サドルという製品を買い、幅をブリッジに合わせて短くし、ブリッジの溝にきっちり収まるように下半分を削って足に当たる部分を作り、上は本来のサドルの位置よりもブリッジ側に弦が載る山を作るように削っていったものだ。


これでスケールが少し伸びるので、シャープしていたオクターブピッチが改善するわけだ。で、実際のところ、これで3弦以外のオクターブピッチは改善した。3弦については、まだ若干シャープしているが許容範囲に近づいたので、これで良しとした。

これ以上の改造となると、もうブリッジを剥がして位置をずらして貼り直すしかないと思う。あとは、この改造サドルが弦の張力などによる負荷で足の部分から折れてしまわないことを祈るばかりだ。

なおTUSQの効果については以前も書いたと思うので詳細は割愛するが、音の立ち上がりは抜群に良くなり、自然なサスティーンも得られるようになった。個人的には、PS-53レベルのギターよりひとクラス上のギターの音になったと思っている。

53cmというスケールが自分に一番合っているとは思いつつも、PS-53の音の貧弱さとオクターブピッチのズレから、最低でもスケールが58cmあるギターに変えようかなと悩んでいたが、今回の改造でもう文句は無くなった。弾き語りで使うギターは、PS-53だけで良いだろう。もちろん音や演奏性が完璧ということではないが、十分に納得できるレベルまできたと思う。

こうなるとPS-53用のハードケースが欲しくなってきたが、本体の新品売価が4万円強に対し、ハードケースが1万円というのは高いと感じてしまって二の足を踏んでいる。